2015年03月06日12:30

先月、
「ワダマコ書店」URL:http://makotowada.com/さんが書評家を募集していたので
手を上げて、意志表明したところ
書かせてもらえることになりました。
今回、早速一回目
本は、「オートメーション・バカ」
という、労働が機械化することに対して厳しい指摘をしている本です。
下記URLより読んでいただければ嬉しいです。
「書評・オートメーション・バカ」
本文をここにも載せます。
ーーーーー
私の思考回路は「〜バカ」という言葉の並びをいつも「〜オタク」と変換する。 しかし、今回紹介したい本書は「バカ」という表現をストレートに使い、危機感を持ちなさい!と訴えかけてくる一冊だ。
はじめにオートパイロットを中心に、機械化が歩む道を説いている。
今から約100年前の1914年、人が操縦桿から手を離し、初めて飛行機のオートメーションが成功した。
それから、商業航空へ導入されたのが20年後の1930年代である。
自動化について、新聞はこう飾る 「経験の浅いパイロットが操縦することで、乗客が死亡する事故が日々数多く起こっている」と。
人的要因による事故が多かった時代(1960〜1970年代)は 100万人に133人(0.00000133%)、
2000年代に入ってからは 100万人に2人(0.00000002%)の犠牲者が出ていた。
ただし、1960年代は搭乗者13億人あたりのデータ、 2000年代では70億人あたりのデータである。
搭乗者が5倍増えたにもかかわらず、飛行機に乗って死亡する確率は大幅に減少した。この数字は驚きである。
車に乗るよりも飛行機に乗る方が安全、ということを聞くが実際にこうして数字で見ると、事実だということがわかるだろう。
この結果の凄さは、自動車事故と比較してみても明らかだ。
私が住む沖縄の2004〜2014年の10年間の車の事故発生件数と死亡者数から大まかに計算してみると
発生件数が約65000件、死亡者数が約500人
車の事故で死亡する確率は1.3%となる。
比べると全然飛行機が安全(1%にも満たない)、ということになる。
近年は自動車での無人運転が話題となっているが、危惧されていることとは対照的に、車の事故率もオートメーションになることで劇的に減少するかもしれない。
それこそ、飛行機の操縦を機械システムに任せたことで、ヒューマンエラーを無くし、安全に空を飛べるようになったみたいに。
しかし、機械に任せることで「自律性」を損なってしまう危険性もある。というのも、飛行中に起きるアクシデントに対応できず、墜落してしまうケースが出てきたからだ。
私たちは「機械化によってポストヒューマンにされるのか」 、それとも「機械化によってヒューマンになるのか」。
本書は、この2つの課題の両者の意見を取り入れながら生活の中にどれだけのオートメーションしたものが関わっているかを論じている。
これを読んだ時の私の考えとしては、後者である。 なぜなら、テクノロジーの発展がどんどん加速するというよりも、人の頭のなかを表現できるツールが普段「やりたい」と思っていることーー文章や絵画、ゲームやアプリ、音楽などの自己表現ーーのほとんどを可能にさせると考えているからだ。 これも機械との向き合い方の一つである。
最後の章にこんな言葉が記されている。1927年、大西洋横断単独飛行に成功したチャールズ・リンドバーグは
”「われわれが大西洋横断飛行に成功したのだ。わたしでも、飛行機でもない。」”
正直、感銘を受けた。
未知の世界に挑むとき、機械と人間の親密性は人類の進歩となる。
本書を閉じた後、この一文が瞬時に思い浮かんだ。
機械、そして人間。これまでは2つに分かれていた両者が、近年その距離をどんどん縮めてきている。
この大きな波に乗って大航海を楽しむことができるのか。私たちは浜辺で満ちる海を待ちわびているようだ。
来るべき大波を目前に控えた今、私たちにできることは思考を働かせて準備することだろう。そのためにはまず現実を直視することから始めなければならない。本書はそのモチベーションを与えてくれる一冊だ。オートメーションによる未来を、本書をきっかけに描いてみるのもいいかもしれない。
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書評を書かせてもらうことになりました。
カテゴリー │本
先月、
「ワダマコ書店」URL:http://makotowada.com/さんが書評家を募集していたので
手を上げて、意志表明したところ
書かせてもらえることになりました。
今回、早速一回目
本は、「オートメーション・バカ」
という、労働が機械化することに対して厳しい指摘をしている本です。
下記URLより読んでいただければ嬉しいです。
「書評・オートメーション・バカ」
本文をここにも載せます。
ーーーーー
私の思考回路は「〜バカ」という言葉の並びをいつも「〜オタク」と変換する。 しかし、今回紹介したい本書は「バカ」という表現をストレートに使い、危機感を持ちなさい!と訴えかけてくる一冊だ。
はじめにオートパイロットを中心に、機械化が歩む道を説いている。
今から約100年前の1914年、人が操縦桿から手を離し、初めて飛行機のオートメーションが成功した。
それから、商業航空へ導入されたのが20年後の1930年代である。
自動化について、新聞はこう飾る 「経験の浅いパイロットが操縦することで、乗客が死亡する事故が日々数多く起こっている」と。
人的要因による事故が多かった時代(1960〜1970年代)は 100万人に133人(0.00000133%)、
2000年代に入ってからは 100万人に2人(0.00000002%)の犠牲者が出ていた。
ただし、1960年代は搭乗者13億人あたりのデータ、 2000年代では70億人あたりのデータである。
搭乗者が5倍増えたにもかかわらず、飛行機に乗って死亡する確率は大幅に減少した。この数字は驚きである。
車に乗るよりも飛行機に乗る方が安全、ということを聞くが実際にこうして数字で見ると、事実だということがわかるだろう。
この結果の凄さは、自動車事故と比較してみても明らかだ。
私が住む沖縄の2004〜2014年の10年間の車の事故発生件数と死亡者数から大まかに計算してみると
発生件数が約65000件、死亡者数が約500人
車の事故で死亡する確率は1.3%となる。
比べると全然飛行機が安全(1%にも満たない)、ということになる。
近年は自動車での無人運転が話題となっているが、危惧されていることとは対照的に、車の事故率もオートメーションになることで劇的に減少するかもしれない。
それこそ、飛行機の操縦を機械システムに任せたことで、ヒューマンエラーを無くし、安全に空を飛べるようになったみたいに。
しかし、機械に任せることで「自律性」を損なってしまう危険性もある。というのも、飛行中に起きるアクシデントに対応できず、墜落してしまうケースが出てきたからだ。
私たちは「機械化によってポストヒューマンにされるのか」 、それとも「機械化によってヒューマンになるのか」。
本書は、この2つの課題の両者の意見を取り入れながら生活の中にどれだけのオートメーションしたものが関わっているかを論じている。
これを読んだ時の私の考えとしては、後者である。 なぜなら、テクノロジーの発展がどんどん加速するというよりも、人の頭のなかを表現できるツールが普段「やりたい」と思っていることーー文章や絵画、ゲームやアプリ、音楽などの自己表現ーーのほとんどを可能にさせると考えているからだ。 これも機械との向き合い方の一つである。
最後の章にこんな言葉が記されている。1927年、大西洋横断単独飛行に成功したチャールズ・リンドバーグは
”「われわれが大西洋横断飛行に成功したのだ。わたしでも、飛行機でもない。」”
正直、感銘を受けた。
未知の世界に挑むとき、機械と人間の親密性は人類の進歩となる。
本書を閉じた後、この一文が瞬時に思い浮かんだ。
機械、そして人間。これまでは2つに分かれていた両者が、近年その距離をどんどん縮めてきている。
この大きな波に乗って大航海を楽しむことができるのか。私たちは浜辺で満ちる海を待ちわびているようだ。
来るべき大波を目前に控えた今、私たちにできることは思考を働かせて準備することだろう。そのためにはまず現実を直視することから始めなければならない。本書はそのモチベーションを与えてくれる一冊だ。オートメーションによる未来を、本書をきっかけに描いてみるのもいいかもしれない。
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